遺言 失敗事例
真山さん(仮名)は、子供のうちの一人と同居していました。同居している子供は、ほかの子供たちが真山さんに会ったり、旅行や買い物に連れて行くことに対して、ヒステリックに拒絶し、『会うときは子どもである自分を通さなければいけない』と言ってききませんでした。
少し極端ですが、親思いの良い子供だと他の兄弟は思っていました。しかしほかの子供たちは、ご本人が亡くなってから会わせない理由が分かったのです。同居していた子供に全財産を相続させる自筆証書遺言が作成されており、親が新たに遺言を作成するのを阻止するためだったのです。
ほかの子供たちは、遺産調査や遺留分減殺請求に多大な労力を強いられることになりました…。
このように、なんらかの予兆や独り占めなどを考えているような相続人がいる場合には、専門家に相談して進めないとたいていの場合に平穏に相続は終了しません。
結局は、この兄弟も不仲になってしまい、この先長い人生で、ずっとお互いを恨まなくてはいけなくなってしまいます。こんな不幸なことはほかにありません。
早い段階で、専門的知識のある司法書士などに相談するのが一番良いと思います。
遺言書が原因で相続トラブルに発展する背景
不公平な財産分配
遺言書の内容が相続人の間で不公平と感じられる場合、トラブルが発生しやすくなります。
例えば、特定の相続人にのみ多くの財産を遺贈するような内容は、他の相続人の不満を招くことがあります。
遺言書の形式不備
遺言書が法律に則った形式で作成されていない場合、その有効性が争われることがあります。自筆証書遺言や秘密証書遺言では、形式的な不備が原因で無効となるケースもあります。
内容の曖昧さ
遺言書の内容が曖昧であったり、解釈が複数通りにできる場合、相続人間で解釈の違いが生じ、争いに発展することがあります。
遺言者の判断能力の問題
遺言書作成時に遺言者の判断能力が低下していた場合、その有効性が疑われ、遺言無効訴訟が起こされることがあります。特に認知症などの症状がある場合は要注意です。
遺言執行者の不適切な行動
遺言執行者が適切に職務を果たさない場合、相続人間でのトラブルが発生することがあります。遺言執行者の不正や不適切な行動は、信頼関係を損ねる原因となります。
相続トラブルを防ぐためのポイント
公平な財産分配を心がける
遺言書を作成する際には、できるだけ公平な財産分配を心がけましょう。特定の相続人に偏らないように配慮し、納得できる理由を明記することが重要です。
法的に有効な遺言書を作成する
遺言書は法律に則った形式で作成する必要があります。自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言のいずれかの形式を選び、それぞれの形式要件を遵守することが重要です。特に公正証書遺言は、公証人の関与により形式的な不備が少ないため、安全性が高いです。
内容を明確に記載する
遺言書の内容は明確かつ具体的に記載しましょう。曖昧な表現や解釈の余地を残さないようにすることが重要です。
例えば、財産の具体的な分配方法や各相続人の取り分を明確に記載することで、解釈の違いを防ぎます。
専門家の助言を受ける
遺言書作成にあたっては、司法書士、行政書士、税理士、弁護士などの専門家の助言を受けることが重要です。専門家のサポートを受けることで、法的に有効で適切な遺言書を作成することができます。
遺言書の定期的な見直し
家族構成や財産状況が変わった場合には、遺言書を定期的に見直し、必要に応じて修正することが重要です。
遺言書の内容が現状に適応しているか確認し、不備や不適切な点がないようにしましょう。
遺言書の存在と内容を共有する
遺言書の存在とその内容を、信頼できる家族や相続人と共有することがトラブル防止に役立ちます。遺言書の存在を知らずに相続手続きが進められると、後でトラブルが発生する可能性があります。
遺言執行者の選定
信頼できる遺言執行者を選定し、その選定理由を明確にしておくことが重要です。
遺言執行者は、遺言書の内容を確実に実行する責任を負うため、公平かつ信頼性のある人物を選ぶことが求められます。
家族間のコミュニケーションを促進する
遺言書作成時には、家族間でのコミュニケーションを促進し、意向や意見を共有することが大切です。
家族の意見を取り入れることで、遺言書の内容が受け入れられやすくなり、トラブルを未然に防ぐことができます。
遺言書作成や見直しの際に専門家に相談するメリット
遺言書の作成や見直しに際しては、専門家に相談することで多くのメリットがあります。
法的アドバイス
遺言書作成に必要な法的知識を提供し、法律に基づいた有効な遺言書を作成するサポートを行います。これにより、遺言書の有効性が担保されます。
税務対策
相続税や贈与税の対策についてのアドバイスを受けることで、税負担を軽減することができます。専門家は最新の税制に精通しており、最適な節税策を提案します。
トラブル防止策の提案
家族間でのトラブルを未然に防ぐための具体的なアドバイスを提供します。公平な財産分配や信託の活用など、専門家ならではの視点からの提案が得られます。
継続的なサポート
遺言書の作成後も、定期的な見直しや修正をサポートします。家族の状況や法改正に対応した最新の遺言書を維持するための助言を提供します。
まとめ
遺言書は相続トラブルを防ぐための重要な手段ですが、適切に作成されないと逆にトラブルの原因となることがあります。
遺言書が原因でトラブルになる背景を理解し、専門家の助言を受けながら法的に有効で明確な遺言書を作成することが大切です。
遺言書の作成や見直しについてお考えの方は、ぜひ司法書士、行政書士、税理士、弁護士などの専門家にご相談ください。
専門家のサポートを受けることで、安心して相続準備を進めることができます。